2026年06月02日
【八戸の歯医者が答えます】痛くないのに虫歯?なぜ何度も通うの?~型取りでオエッとなる人への救世主も紹介!~

「痛くもなんともないのに、定期健診に行ったら
『あ~、虫歯ですね、治療しましょう』と言われた。
本当に治療なんて必要なの?」
「しかも、治療が始まったら毎週のように何度も通わされる。
もしかして、わざと長引かせて治療費を稼いでるんじゃ・・・?」
「おまけに、あの冷たくてドロッとした粘土みたいなのを使った型取り・・・
思い出すだけで『オエッ』となるから、歯医者にいくのはこわい~」
歯医者に通ったことがある人なら、
一度はこんな風に不快感や恐怖を抱いたことがありますよね。
今回は、そんな歯医者にまつわる「3大ミステリー」を、
渋田歯科クリニックが徹底解説します!
これを知れば、
明日からの通院に対する納得感がガラリと変わり、
歯医者に対する苦手意識が薄くなるはずです!

【第一部:痛くないのに虫歯?お口の中の「見えない爆弾」】
まず最初の謎は、
「痛くないのになんで削るの」問題です。
結論から言うと、
「虫歯=痛い」というイメージ自体が
実は大きな勘違いなんです!
歯の構造を紐解くと、
その理由がよくわかります。
歯の進行度は、大きく分けて以下の4つのステップに分かれています。
【進行レベル1】表面の虫歯/気づきにくい虫歯
状態:歯の一番外側、体の中で最も硬いコーティング部分(エナメル質)です。
ここには神経が一切通っていません。
実は…:神経がないので、“痛みは一ミリもありません”
削られても何も感じない段階です。
【進行レベル2】内側まで進んだ虫歯/しみる症状あり
状態:進行度1のエナメル質の下にある、
ちょっとやわらかい層(象牙質)にまで虫歯進んだ状態です。
実は…:冷たいものや甘いもので“時々キーンとしみる”ことがあります。
しかし、激痛ではないので、
「ま、いっか」とスルーされがちです。
【進行レベル3】神経の近くまで進んだ虫歯/神経が危ない⚠
状態:虫歯が歯の中心部にある、神経と血管のパラダイスに
ドカンと激突した状態です。
実は…:“夜も眠れないほどの激痛”が走ります。
痛み止めを飲んでも効かないことが多く、
ここまで来てようやく「歯医者にいかなきゃ」となるわけです。
【進行レベル4】神経を超えた虫歯/抜歯の可能性あり
状態:歯のほとんどが崩壊し、根っこだけが残っている状態で。
実は…:神経が完全に死んでいるため、“一時的に痛みがなくなる”という
不気味な現象が起きます。
しかし、治ったわけではないので、
放っておくと数か月~数年後に根の先が膿んで再び大激痛が起こります。
お分かりいただけたでしょうか?
つまり、
「痛くなった時点では、すでに手遅れ」
ということなんです。
「痛くないから大丈夫」
ではなく、
「痛くないからこそ、今のうちに」
「痛くない方法で修復できる」
というのが、僕たちがお伝えする
痛みの前の「虫歯がありますね」の正体です。
僕たち歯医者が「痛くないけど治そう」という3つの落とし穴
他にも、
痛まないクセにタチが悪い虫歯のパターンをお話しします。
・過去に神経を抜いた歯の再発(二次カリエス):
すでに神経を抜いている歯は、
その下がいくら虫歯でボロボロになろうが、
痛みを伝える神経自体がないので完全に「無痛」です。
気づいたときには、手遅れ→抜歯、なんてこともよくあります。
・大人のじわじわ虫歯(慢性虫歯):
大人の虫歯は数年単位でゆっくり進みます。
虫歯のスピードに合わせて
神経が自ら「ひぇっ!」と縮んで奥へ逃げていくため、
虫歯が深くても痛まない不思議な現象が起きます。
・歯と歯の隙間の「隠れ虫歯」:
鏡で見ると表面は白くてキレイ。
でも、歯と歯の隙間から
トンネルを掘るように奥で広がっているパターンです。
これはレントゲンを撮らないとプロでも見落とします。
『痛くなってから行けばいいや』の代償は高すぎる
「それでも、痛くなってから行く方が手っ取り早くない?」
と思うかもしれません。
でも、痛くなってから駆け込むと、
期間、費用、そしてあなたの歯の寿命において、
あらゆる面で大損をします。
神経を取ってしまった歯は、
水分や栄養が行き届かなくなるので、
いわば「枯れ木」のような状態。
非常にもろくなり、
将来ポキッと折れて抜歯になるリスクが跳ね上がります。
さらに、神経の治療は回数がかかります。
患者さんの大事な時間とお財布に大打撃です。
「痛くないうちにサクッと治す」のが、
結果的に一番安く、一番早く終わる近道の方法なのです。

【第二部:なぜ歯医者は「何度も通わされる」のか?裏にある大工道具の真実】
次は、「なぜ1回で終わらないの?」問題です。
ネットではよく、
「歯医者はわざと少しずつ治療して、再診料を稼いでいる!」
なんて言われますが、
これは、大誤解です!
泣く泣く何度も通ってもらっているのには、
きちんと理由があります。
内科なら「お薬を出して、体の免疫力で治す」が基本ですが、
歯医者はちがいます。
一度溶けた歯は、
薬を飲んでも絶対に元に戻りませんし、
歯医者の治療は薬を出して終わりではありません。
お口の中を直接治療するため、
一つひとつの作業に高い精度が求められる
「超精密な大工仕事」のような治療なのです。
治療の内容により何度も通院が必要なのには、
大きく分けて三つの理由の理由があります。
①根の治療は「超精密な大掃除」なのです
虫歯が神経まで到達してしまった場合、
歯の根のお掃除(根管治療)をします。
歯の根は、直径1ミリもない髪の毛のような細さで、
しかも複雑に曲がったり枝分かれしたりしています。
ここで、わずかでも細菌を残したまま治療を終えると、
数年後に中で大爆発(再発して膿む)を起こします。
そのため、「根に薬を入れて経過を見る」
「きれいになったか確認する」
を何度も繰り返す必要があり、
この根の治療だけで、3~5回かかってしまうのです。
家を建てる時に、
基礎工事が大事、ということと同じです。
②一発勝負!オーダーメイドの「型取りと職人技」
銀歯やセラミックなどの詰め物や被せ物は、
その場で歯科医師が作っているわけではありません。
型を取った後、
お口の外で「歯科技工士」という職人さんが
顕微鏡レベルで作っています。
1回目〈型取り〉
虫歯を削って形を整えたら、型取りをします。
型取りしたものは、技工所さんへ送り、
出来上がるまで1~2週間かかります。
2回目〈SETの日〉
出来上がったものを、
お口の中で嚙み合わせを微調整しながら
接着していきます。
このように、
詰め物、被せ物で最低二回、
入れ歯を作るときは、
入れ歯が大きくなるにつれて回数もかかります。
③一気に治療すると食事に困る
「左右上下、一日でまとめて全部型取りして!」
と思う方もいるかもしれません。
でも、
まとめて治療してしまうとお口の中が大パニックになります。
人間のかみ合わせは、
髪の毛1本で狂ってしまうほど繊細です。
全部同時に削ったら、
どこで噛めばいいのか分からなくなってしまいます。
さらに、広範囲を一度に治療するには、
口全体に麻酔をかける必要があります。
口全体が痺れると、
自分の頬を思い切り噛んでケガをしたり、
よだれや水分をうまく飲み込めなくなり非常に危険です。
安全に、治療中もちゃんと食事ができるように、
「今回は右下」
「次は左上」
を1ブロックずつ進めるのが鉄則なのです。

【第三部:あの苦しい型取りはもう古い!「オエッ」となる人へ救世主】
先ほど紹介した「詰め物・被せ物の型取り」ですが、
多くの方がここで憂鬱になりますよね。
「あのドロッとした冷たい粘土みたいなものを
口の中に入れられると、オエッとなってすごいいや・・」
という方いませんか?
実は、歯科関係者でも型取りに苦手意識がある人ははたくさんいるんです。
その、「オエッとなる」ことは、患者さんの我慢が足りないわけではなく、
「嘔吐反射」という立派な体の防衛反応なんです。
特に喉のセンサー(舌の奥や口蓋)が敏感な方は、
脳が「遺物が詰まって窒息する!」と勘違いして、
体が勝手に拒絶してしまうんです。
「オエッとなるのが怖すぎて、歯医者に行くのが嫌だった」
という方もたくさんいらっしゃいます。
でも、安心してください。
今の歯医者は劇的に進化しています。
最新の「3Ⅾ光学スキャナー(デジタル印象)が凄い”!
八戸市にある渋田歯科クリニックでは、
あの苦しい粘土の型取りをほとんど使用しない、
「最新のデジタル3Ⅾスキャナー」を
導入しています。
これを使用すると、
型取りの苦痛が格段に軽減されます。
・粘土は使いません。カメラで「写真を撮るだけ」
大きくて冷たい型取り用のトレーも、
ドロッとした粘土もお口に入れません。
小さなノズルを口の中に入れ、
高速で連続撮影(スキャン)していくだけです。
・固まるのを待つ「地獄の数分間」がゼロに
スキャナーならお口の中をペンでなぞるように動かすだけで、
歯型がパソコン画面にリアルタイムで立体的に再現されます。
・途中で休憩(うがい)もできちゃいます
もし途中で疲れたりしたら、
スキャンを一時停止して、お口をゆすいで休憩することができます。
データは途中保存されますので、
休憩後、再開すれば問題なし。
ここが決定的な違いです。
実は「ラクなだけ」じゃない!治療の質もあがるスキャナー
このスキャナー、
患者さんがラクなのはもちろんですが、
実は出来上がる詰め物・被せ物のクオリティもあがります。
従来の粘土は、
「固まるときにわずかに縮む」
「模型に変えるときにズレる」
というアナログエラーが避けられませんでした。
しかし、スキャナーはミクロン単位で
正確なデジタルデータが取れるため、
出来上がる詰め物・被せ物が歯にピッタリはまります。
隙間が極限まで無くなるため、
隙間から細菌が入り込んで虫歯が再発する(二次カリエス)リスクを
グッと抑えることができる、
体にやさしい治療です。
※渋田歯科クリニックでも、
光学スキャナーによる型取りを導入していますが、
お口の状態や治療内容によっては、
従来の粘土を使った型取りをする場合もあります。
より精度の高い治療につなげるため、
それぞれの特徴を活かしながら、
患者さんに合った最適な方法をご提案しています。

【第四部:通院を最短で終わらせるために、渋田歯科クリニックができること】
いくらスキャナーがラクでも、
何度も歯医者に通うのは面倒ですよね。
少しでも早く、
治療を終わらせるための現実的なコツをお話しします。
・予約をキャンセルしない、治療の期間を空けない
これが一番の近道です。
予約を1か月先伸ばしにすると、
放置している期間、仮のふたがすり減って、
隙間から細菌が侵入します。
前回までやっていた治療が「最初からやり直し」になり、
通う回数がさらに増えます。
・最強の解決策は「定期健診」で通うこと
何度も治療で通うハメになるのは、
虫歯を大きく育ててしまったからです。
3か月に1回、美容院に行く感覚でクリーニングに通っていれば、
もし虫歯が見つかっても一回で治療が終わる可能性が高いです。
「痛い思いをしない」
「何度も通わない」
ための最大の裏技は、
実は定期健診なんです。

【すべては、患者さんの大切な歯を一日でも長く残すため】
痛くない虫歯を治療するのも、
長く通院するのも、
患者さんにとっては面倒なことだと思います。
でもその裏側には、
「患者さんの大切な歯を、
簡単に抜かずに、
一生美味しくご飯がだべられるように残したい!」
という、歯科医師やスタッフの熱い想いと責任感が詰まっています。
もし、1~2回で適当に蓋をするような
その場しのぎの治療をしていたら、
数年後にその歯を失うことになってしまいます。
丁寧な治療には、
どうしても回数が必要なんです。
ご自身のお口の未来への投資だと思って、
ぜひ最後までしっかり通いきってください。
八戸市にある渋田歯科クリニックでは、
治療内容と患者さんに合わせて最適な方法をご提案しています。
スキャナーをはじめとした最新設備も充実しています。
じっくりお話しを聞く体制を整えていますので、
お気軽にご相談ください。
「そういえば最近、歯医者にいってないな」
「放置している虫歯気になるけど、型取りしたくないな」
と思う方は、
ぜひ肩の力を抜いて、
リラックスして渋田歯科クリニックにご相談ください。
痛みのない今のうちに一歩踏み出すことが、
一生自分の歯で過ごすための、
最も賢い選択です。
参考文献
・厚生労働省e‐ヘルスネット「う蝕(むし歯)の治療
・公益社団法人日本歯科医師会「歯の学校:むし歯の進行段階」
・一般社団法人日本歯内療法学会「歯内療法(歯の治療)Q&A」
・特定非営利活動法人日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン」
・公益社団法人日本補綴歯科学会「市民のみなさまへ:詰め物・被せ物トラブル」
・公益社団法人日本口腔インプラント学会/一般社団法人日本顎咬合学会「デジタルデンティストリーがもたらす臨床変化」
2026年05月27日
【歯医者あるある】歯医者の診察室で誰もが一度は感じる「あの疑問と葛藤」にお答えします!

皆さんは、歯医者の診察ユニットに
ゴロンと横になったとき、
心の中で
「これってどうすればいいんだろう・・」
「私だけが考えすぎなのかな・・」
と、密かにドキドキしたり、
葛藤したりした経験はありませんか?
実は、
歯科医院の診療室の中は、
患者さんにとって
「日常とは少し違う特殊な空間」
です。
鋭い器具の音、
独特の薬のにおい、
視界が制限される状況。
そのため、
多くの方が同じような疑問や、
ちょっとした恥ずかしさを抱えています。
今回は、
渋田歯科クリニックの患者さんからも
特によく耳にする
「4大診療室あるある」を
ピックアップしました!
それぞれのシチュエーションでの
「患者さんのリアルな本音」に
寄り添いながら、
僕たち歯科医師や
歯科衛生士が
実は舞台裏でどう思っているのか、
プロとしての本音と
優しくためになるアドバイスを
詳しく解説します。
次回の通院が
少し楽になるはずです!
ぜひ肩の力を抜いて読んでみてください。

あるある①「痛かったら手を挙げてください」のタイミング問題
診察ユニットに横になり、
いよいよ歯を削る治療や
麻酔をするとき、
クリーニングで歯石とりをするとき、
歯科医師や歯科衛生士から
から必ずと言っていいほどこう言われますね。
「途中で痛かったら左手挙げてください」
このフレーズ、
一見すると非常に優しい配慮に思えます。
しかし、
いざキュイーンという
鋭い音が響き、
治療が始まると、
患者さんの頭の中では
次のような激しい葛藤が
繰り広げられていると思います。
・「『痛っ!』と思った瞬間挙げていいの?
それもとも少し我慢するの?」
・「麻酔が効いているはずなのに・・
なんかズンズン響く感じがする・・
これは『痛い』のジャンルに入る??」
・「今チクってしたような・・
でもこの程度で手を挙げたら『めんどくさい患者』だと
思われないかな・・」
・「機械の音、削る音が大きすぎて、
本当に痛いのか、怖いだけなのか
分からない~💦パニックになる~!」
このように、
多くの患者さんが
「手を挙げるタイミングの正解」
がわからず、
結局ギリギリまで我慢して
体に思いっきり力が入り、
翌日謎の肩こりになってしまう・・
という事態に陥ってしまします。
【僕たちの本音】遠慮はいりません!「痛いかも」と思ったら挙げてください。
結論からお伝えします。
僕たちは、
患者さんが思っているよりも
ずっと手前の段階で、
遠慮なく手を挙げてほしいと
思っています!
「こんな小さな痛みで手を挙げたら迷惑かも・・」
なんて思う必要はありません。
むしろ、
限界まで我慢して、
痛みが頂点び達した時に
体が「ビクッ!」と
無意識に動いてしまう方が、
ミクロン単位で
精密な仕事をしている僕たちにとっては
一番ヒヤリとする瞬間なのです。
具体的にどのタイミングで挙げればいいの?
目安は以下の3つです。
①チクッとした、ズキッとした明確な痛みを感じた時、
②痛くはないけれど、重い鈍痛や響く感じがして
「不快」「怖い」と思った時
③「これ以上続けたら痛くなりそう」と予感した時
これらのタイミングで、
スッと左手を挙げて教えてください。
手を挙げていただければ、
僕たちは治療を一度ストップし、
「麻酔を追加する」
「削る角度や回転数を変えて振動を減らす」
「少し休憩を入れて息を整えてもらう」
といった適切な対応を
取ることができます。

あるある②「お口をゆすいてください」での全力うがい
治療の合間に訪れる、
砂漠のオアシスのようなひととき。
それが、
「はい、一度起こしますので口をゆすいでください」
と言われて、
診察ユニットが起き上がる瞬間です。
この時、
目の前にあるコップの水を使って、
ここぞとばかりに
「ガラガラガラガラーーーーーッ!ペッ!!」
と全力で豪快にうがいをしていませんか?
お口の中をスッキリさせたい気持ちは
とてもよくわかります。
特に歯を削った後の粉っぽさや、
歯医者特有の苦い薬の味が残っていると、
強い水の力で一気に洗い流したくなりますよね?
しかし、
ここにも意外な落とし穴と、
歯科医師からの小さなお願いが隠されているのです。
【僕たちの本音】麻酔の後や抜歯の後は「優しくうがい」が鉄則
実は、
治療の状況によっては、
激しいうがいが逆効果になり、
治療後の経過を悪化させてしまうことがあります。
特に気をつけていただきたいのが、
「麻酔が効いている時」と
「歯を抜いた後」の2つです。
1、麻酔が効いている時
麻酔が効いていると、
唇や頬、口角の筋肉の感覚がマヒしています。
そのため、本人はいつも通りにうがいしたつもりでも、
口の端の隙間からお水が漏れて
お洋服を濡らしてしまったり、
勢いよく吐き出そうとして、
水を吐き出すボール部分(スピットン)からもれて
床が水浸しに・・・
なんてことがよくあります。
2、歯を抜いた後・出血を伴う治療の後
歯を抜いた後の傷口には、
かさぶたの役割を果たす、
「血の塊(血餅)」が作られます。
これが傷口をゼリーのように覆うことで、
細菌の侵入を防ぎ、
骨を守りながら傷を治していきます。
ここで激しくうがいしてしまうと、
その水圧でかさぶたが洗い流されてしまいます。
そうなると、
止まっていた血が再び出血し、止まらなくなったり、
「ドライソケット」という、
激しい痛みを伴う状態になってしまうことがあります。
【診療室での正しいうがいのコツ】
診療室内でのうがいは、
喉を鳴らす「ガラガラうがい」ではなく、
お口の前の部分だけで行う
「くちゅくちゅうがい」が基本です。
お水を口に含んだら、
頬を軽く動かして、
優しく吐き出すだけで
十分汚れは落ちます。

あるある③治療中に目が合う気まずさ
治療中にお顔にタオルをかけないスタイルの医院や、
タオルの隙間から外がチラリと見えるとき、
ほぼすべての方が直面する問題ーーー
それが、
「治療中、
私の目線はどこへ・・・問題」です。
ふと上を見上げると、
治療をしてくれる先生や、
バキューム(口腔内の水分を吸う機械)を
持ってくれている衛生士さんの顔が、
わずか数十センチの距離にあります。
「目が合ったら気まずいから、
必死に天井の模様を見つめてみる」
「ライトの眩しい光を見すぎて目がチカチカする」
など、
視線の置き場に困って、
目元がキョロキョロと泳いでしまう患者さんは多いです。
【僕たちの本音】僕たちは歯しか見ていません!目は閉じていて大丈夫です!
これに対する僕たちの本音は・・・
「僕たちは、患者さんの『歯』と『口の粘膜』に
全集中しているので、目が合っても気にしません!」です。
顕微鏡や拡大鏡(ルーペ)を使っていることも多く、
視野は数ミリの世界。
ですので、
視線をどこに固定すべきかという疑問への回答は、
「そっと目を閉じていただくのが、実は一番おススメ」
となります。
目を閉じていただくことは、
医学的には以下のような大きなメリットがあります。
・物理的な目の保護になる:
治療中は、削った歯の微細な粉末や、
お水などが飛散することがあります。
目を閉じておくことで、
これらが目に入るトラブルを自然に防ぐことができます。
・心理的なリラックス効果:
あえて視覚からの情報を遮断することで、
脳の緊張が和らぎ、
恐怖心が軽減します。
・目の疲労軽減:
お口の中を明るく照らすための
強力なライトが直接視界に入らないため、
治療が終わった後の目の疲れが違います。

あるある④「よく磨けていますね」と言われたくて、直前にいつもより丁寧に歯を磨く
歯医者の受付を済ませた後、
待合室の洗面台や、
ご自宅を出る直前の洗面所で、
普段よりもレベルアップした
スピードと力強さで
「シャカシャカシャカシャカ!」
と一生懸命歯を磨いている方が
いらっしゃいます。
その心理はまさに、
「テスト前の一夜漬け」状態です。
「全然磨けていない、と思われたくない」
「ほめられたい!」
といった、
健気な努力をされる患者さんがたくさんいらっしゃいます。
【僕たちの本音】お心遣いは大感謝!でも「普段のお口の中」を見せてくれた方がうれしいです
まず大前提として、
治療やクリーニングの前に、
「口の中をきれいにしておこう」
というそのお心遣い、
僕たちスタッフとしては本当にうれしく、
感謝の気持ちでいっぱいです。
ご飯のあとで、
食べかすが残っていない状態にしていただいていると、
実際の診察も非常にスムーズに進みます。
しかし、クリーニングをする歯科衛生士側の本音として、
「実は、普段通りの磨き残しがある状態で来てもらった方が、
あなたのために効果的なアドバイスができる」
というメリットもあります。
プロの衛生士の目は、
直前にどれだけゴシゴシ磨いてカモフラージュしても、
歯と歯の間や奥歯の裏側に残る
「古いプラーク(歯垢)」や「歯石」から、
普段の本当の歯磨き習慣を簡単に見抜いてしまいます。
ブラッシング指導の目的は、
点数をつけてあなたを評価することではありません。
あなたが普段、
無意識のうちに磨けていない「苦手なゾーン」を見つけ出し、
そこをどうすれば奇麗にできるか、
そのコツややり方を一緒に考えることです。
そのため、診療直前の歯磨きは
食べかすを落とす程度の軽いもので十分です。
最後に:診療室は、もっとリラックスして、甘えていい場所です
これらのあるあるはすべて、
皆さんが「治療をスムーズに進めたい」
「先生やスタッフに迷惑をかけたくない」
という、周囲への優しいお気持ちを持っているから生まれる悩みです。
しかし、僕たちは、
もっと肩の力を抜いて、
リラックスして治療やクリーニングを受けてほしい、
と心から想っています。
渋田歯科クリニックでは、患者さんが小さなストレスや
疑問を感じることなく、
お家にいるときのようにリラックスして通える環境づくりを
何より大切にしています。
気になることがあれば、
どんな小さなことでもスタッフや僕に気軽にお声がけください。
参考文献
・日本歯科麻酔学会「歯科麻酔学第8版」
・公益社団法人 日本口腔外科学会「口腔外科治療のガイドライン」
・一般社団法人 日本歯科医学会「歯科医療における感染管理および安全対策」
・厚生労働省e-ヘルスネット「プラークコントロール」/日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン」
2026年05月11日
新しい入れ歯が「すぐ使えない」「痛い」のは当たり前?!一週間後の調整 “運命” を分ける理由

せっかく高い費用を時間をかけて作った新しい入れ歯。
「今日からなんでも美味しく食べれる!」
と意気込んで、
大好物のたくあんやステーキを
思い切り噛んでみたら・・・
「痛っ!!」
そんな経験はありませんか?
実は、歯科医師の立場からお伝えすると、
「新しい入れ歯をいれたその日から完璧に使いこなせる」
という方は、
ほとんどいらっしゃいません。
今回は、
新しい入れ歯を作ったばかりの方、
抜いた部分に歯を足すなど入れ歯の修理をした方、
そしてこれから作る予定の方へ向けて、
「なぜ、入れ歯はすぐ使えないのか」
「なぜ、一週間後の調整が大切なのか」
を詳しくお話しします。
むしろ、
最初の一週間は
「違和感や痛みとの闘い」
といっても過言ではないのです。

1、「新しい入れ歯」=「新しい革靴」という事実
よく「入れ歯をいれたら、その日のうちに固い漬物もバリバリ食べられる」
と思っている方が多いですが、
それは少し誤解があります。
新しい入れ歯を使い始めるには、
例えるなら
「新品の硬い革靴を履いて、いきなりフルマラソンを走る」
ようなものです。
見た目はピカピカでサイズも合っているはずですが、
履いてすぐ全力疾走すると靴ズレを起こしますよね?
●なぜ馴染むのに時間がかかるの?
・歯茎は粘膜である
歯茎は、もともと「噛む力」を
直接受け止めるための組織ではありません。
そこに入れ歯という
「硬いプラスチックの塊」
を乗せて圧力をかけるわけですから、
最初は粘膜が悲鳴をあげて当然です。
・形状の変化
入れ歯の型取りをして精密に作ったつもりでも、
お口の中は常に動いて、変化しています。
喋るとき、
飲み込むとき、
噛むとき。
それぞれの動きの変化に完璧にフィットするまでには、
実際に使ってみて
「当たる場所」を見極める必要があるのです。
・筋肉の慣れ
唇や頬の筋肉、
舌の動きも、
新しい入れ歯の形に適応するまでに
時間がかかります。

2、絶対にやってはいけない!「いきなり固いもの」
「前使っていた入れ歯でなんでも食べられたから!」と、
新しい入れ歯を入れたその日に
固いものを食べるのは禁物です。
〈慣らし運転のステップ〉
初めて入れ歯を入れる方も、
長年入れ歯を使っていて新しい入れ歯に変えた方も、
以下のステップで慣らしていきましょう。
①まずは「水分・やわらかいもの」から
おかゆ、豆腐、煮込みうどん、白身魚など、
あまり力を入れなくても嚙み切れるものから食べ始めてください。
②一口を小さく
大きな塊を頬張ると、
入れ歯が不安定になりやすく、
歯茎を傷つける原因になります。
③左右均等に噛む
片側だけで噛むと入れ歯が傾き、
強い痛みが出やすくなります。
意識して両奥歯でゆっくり噛みましょう。
自分の歯が前歯にだけ残っている場合、
無意識に自分の歯で噛んでしまいます。
前で強い力で噛むと、
入れ歯の破損の原因になります。
両側の奥歯で噛む意識をすることで、
入れ歯の破損を防ぐことができます。
「固い漬物」や「お餅」「イカ」などは、
数回の調整を経て、
入れ歯がしっかり歯茎に馴染んでからの
お楽しみにとっておいてください。
3、なぜ「一週間後の調整」が最も重要なのか
歯科医院では、
入れ歯をお渡しするときに、
「来週、調整に来てくださいね」とお伝えします。
これには、きちんと理由があります。
〈痛みの原因「傷」のチェック〉
どんなに精密に作っても、
数日使うと、
必ずと言っていいほど
「強く当たるところ」が出てきます。
そこが赤く腫れたり、
口内炎のような傷(圧迫痕)になったりします。
一週間ほど使うことで、
「どこが、どう痛むのか」
という証拠がお口に現れるのです。
この証拠を見て入れ歯の調整を行うことで、
初めてあなた専用の
「痛くない入れ歯」へ進化します。
〈噛み合わせの微調整〉
お口の周りの筋肉が新しい入れ歯に慣れてくると、
最初の日とは微妙に噛み合わせの位置が
変わることがあります。
一週間後の調整では、
この「動的な噛み合わせ」を整えます。
〈精神的な安心感〉
“痛いけれど、来週歯医者に行けば直してもらえる!”
という安心感は、
入れ歯に慣れるための大きな助けになります

4、もし「痛くて我慢できない」ときは?
次の予約まで一週間あるけれど、
どうしても痛くて耐えられない・・・・
そんな時の対処法をお伝えします。
・無理に使い続けない
激痛があるのに無理に使うと、
歯茎の傷が深くなり、
治るまでに入れ歯が使えなくなってしまいます。
・一旦外してOK
どうしても痛いときは
外して歯茎を休ませてください。
ただし、来院する直前の数時間は
装着していただくのが理想です。
(どこが強く当たっているのか明確にするためです)
・まずは電話で相談
「一週間も待てない!」という場合は、
遠慮なく歯科医院に電話してください。
予約外で対応してもらえる場合があります。
5、まとめ:入れ歯は「歯科医師と一緒に育てていくもの」
新しい入れ歯は、
完成した日が「ゴール」ではありません。
そこから調整を何度か繰り返し、
自分の身体の一部にしていく「スタート」なのです。
※覚えておいてほしいポイント※
・新しい入れ歯は、すぐには使いこなせないのが普通
・食事に注意⚠まずは柔らかいものから少しづつチャレンジ!
・「一週間後の調整」で、痛みや違和感のほとんどが解決する
・痛いときは無理しない。お電話でご相談ください。
「せっかく作ったのに合わない・・・」
と落ち込む必要はありません。
一歩ずつ、
歯科医師と一緒に
「美味しく食べられる喜び」を
取り戻していきましょう!
次回来院時にお聞かせください。
一週間後の調整では、ぜひ以下のことを教えてください。
・どこが一番痛むのか(右奥、前歯の裏、など)
・どんな時に外れやすいか
・何を食べた時に違和感があったか
あなたのその声が、
あなた専用の入れ歯を完成させる最後のパーツになります。
参考文献
・e‐ヘルスネット(厚生労働省)「義歯(入れ歯)の清掃・手入れ」
・日本歯科医学会「義歯(入れ歯)に関するQ&A」
・日本補綴歯科学会「有床義歯新製後の調整ガイドライン」
・日本老年歯科医学会診療指針
・公益社団法人日本歯科医師会「テーマパーク8020」
2026年05月08日
ヘルペスができて歯医者を休もうとしているあなたへ。その症状、歯医者で診ます

「唇にヘルペスが・・・」
知ってほしい歯科医院の“意外な”役割
「今日クリーニングで予約取っていましたが、
ヘルペスが出来たのでまた今度にします」
歯科医院の受付で、このような電話をいただくことは
決して珍しくありません。
また、口の端(口角)がパキっと割れてしまう口角炎。
「口が切れたので今日行ったら迷惑ですよね?」
と気を遣ってキャンセルを希望される方もいらっしゃいます。
患者さんのその気遣い、本当に心が痛みます。
ですが、私たち歯科医院に務めるスタッフがその電話を受けた時、
心の中でこう思っています。
「ああ、もったいない!!
むしろ今、その状態だからこそ来てほしいのに!!」
実は、歯科医院で「唇のトラブル」を診察すると伝えると、
多くの方が、
「え?!歯医者でヘルペスを診てくれるの?」
と驚かれます。
今回は、意外と知らない“歯科と唇の病気”の深い関係について、
じっくりとお話させていただきます。

●歯科は「歯」だけを診る場所ではない
まず知っていただきたいのは、
僕たち歯科医師の守備範囲です。
歯科医師の免許をもつ僕たちは、大学で6年間、
そしてその後の臨床研修で、
歯のことだけ学んでいるわけではありません。
正式には「口腔外科学」という分野があり、
そこではお口の中だけでなく、
そでに付随する
「アゴ」「頬の粘膜」「舌」「唇」まで、
すべてが診察・治療の対象と定義されています。
つまり、
唇のできるヘルペスや口角の切れ、
さらには口内炎や舌の痛みなど、
すべて僕たちは歯科医師の専門分野なのです。
●ケース①:口唇ヘルペスの正体と、歯科ならではの治療
「口唇ヘルペス」は、
単純ヘルペスウィルスというウィルスが原因で起こります。
疲れがたまっていたり、
風邪を引いたり、
免疫力が落ちた時にひょっこり顔を出す
厄介な存在ですよね。
多くの方は「皮膚科に行かなきゃ」と思われますが、
歯科医師は、
「お口周りの専門家」です。
それが単なるヘルペスか、
別の粘膜疾患かを的確に診断し、
必要に応じで抗ウィルス薬の処方を迅速に行えます。
初期段階で専門的な処置を受けることで、
重症化を防げるのが大きなメリットです。
また、患部が痛くて歯磨きが出来ない場合、
プロの手で口腔内を清掃し、清潔に保つことで、
傷口からの二次的な細菌感染を防ぎ、
治癒を早める環境を整えられます。
さらに、特定の場所が再発を繰り返す場合、
歯の研磨や、被せものの調整など、
歯科特有の原因解決ができるのも
歯科ならではの強みです。

●ケース②:口角が切れる「口角炎」の裏に隠れた原因
次に多いのが、
「口角が切れて口が開かないからキャンセルしたい」
というケースです。
これは、単なる乾燥に思われがちですが、
実は、「歯科的な原因」が潜んでいるケースがあります。
なぜ「口の端」が切れるのか?
口角炎にはいくつかのパターンがあります。
1、嚙み合わせの低下
年齢とともに歯がすり減ったり、
合わない入れ歯を使っていたりすると、
お口の「高さ」が低くなります。
すると、口を閉じたときに
口角の部分に深い溝(シワ)ができ、
そこに唾液がたまりやすくなります。
湿った状態が続くと菌(カンジダ菌)が繁殖し、
炎症を起こして切れてしまうのです。
2、ビタミン・鉄分不足
粘膜の健康維持するビタミンB群などが不足すると、
口角が弱くなります。
3、詰め物・被せ物の不適合
お口の中の金属や汚れが刺激となっている場合があります。
歯医者であれば、単に薬を塗る、処方するだけでなく、
なぜ口角が切れやすいのか、という
根本的な原因を、
かみ合わせや入れ歯の適合状態からチェックし、
根本解決を提案することができます。

●「迷惑かも・・」と思う
優しいあなたへ伝えたいこと
患者さんの中には、
「ヘルペスは感染症だから、
歯科医院に行くと先生やスタッフにうつしてしまうのでは?」
と心配される方もいらっしゃいます。
大丈夫です。
ご安心ください。
歯科医院では、
「血液」や「唾液」を介した感染症もリスクを防ぐため、
極めて厳格な衛生管理を日常的に行っています。
B型・C型肝炎やさまざまなウィルス対策として、
標準予防策(スタンダード・プリコーション)を徹底しています。
ヘルペスに対しても、処置ごとにグローブを交換し、
マスクやゴーグルを着用するなど、
接触・飛沫感染を防いでいますので、
僕たちが「うつるから困る」と感じることはありません。
むしろ、痛みを抱えながら
「今日はいけません」と
電話をしてくれる患者さんのことが
心配なのです。
●理想的な「予約当日」の対応とは?
もし、予約当日に唇のトラブルに気づいたら、
キャンセルではなく、
まずはこう相談してみてください。
「今日唇にヘルペスが出来てしまって、口を開けるのが辛いです。
クリーニングを予定していましたが、
今日はヘルペスの処置に変更してもらえますか?」
このお電話一本で、
僕たちは準備を整えます。
「今日は唇の痛みを止める処置を優先しよう。
お薬を出して、落ち着いてからのクリーニングにしよう」
といった具合に。
その時の患者さんに最適な治療内容へ
柔軟に切り替えることができます。
●まとめ:お口周りの「一番身近な相談窓口」として
歯医者は、単に「虫歯が出来たら行く場所」ではありません。
食事を楽しみ、
会話を楽しみ、
笑顔を作るための「お口のトータルケアセンター」です。
・唇が腫れた
・口の端が切れて痛い
・舌に違和感がある
・口内炎が治らない
これらはすべて、
僕たちが日々向き合っている大切な診療内容です。
「こんなことで診てもらえるのかな?」
という迷いは必要ありません。
むしろ、お口周りのトラブルを早期に解決することは、
お口の中の環境を整えることと同じくらい重要なのです。
次のお約束の時、もし唇に何かあっても
どうぞキャンセルせずにそのままの状態でいらしてください。
「びっくりした!歯医者さんってこんなこともしてくれるんだ!」
そんな驚きを安心を、
一人でも多くの患者さんにお届けできることが、
僕たち医療従事者の喜びです。
あなたの
「お口のパートナー」として、
いつでも頼りにしてください!
参考文献
・厚生労働省:歯科医業の範囲について
・日本口腔外科学会:口腔外科が扱う疾患
・日本補綴歯科学会:義歯と口内炎の関係
・日本口腔感染症学会:口腔カンジダ症診療ガイドライン
・公益社団法人 日本口腔外科学会:「お口の病気:口唇ヘルペス」
・eーヘルスネット(厚生労働省)「口腔ケア」の項目:お口の粘膜疾患と全身疾患のかかわりについて
2026年04月17日
無理のしない選択を。血圧と麻酔の安心な関係について

●「せっかく来たのに」という、そのお気持ちに寄り添って
「よし、今日こそ虫歯を治すぞ!」
「頑張って今日歯を抜こう!!」
そう決心して歯科医院の扉をあけるのは
とても勇気がいることですよね。
お仕事の合間に来院されたり、
家事や育児を一区切りさせて、
ようやく作った貴重な時間。
それなのに、診療室で血圧を測ってみると・・・
院長からこんな一言。
「血圧が高いようですね・・
無理せず処置は日を改めましょう。」
このように言われると、きっと
「どうして?」
「きちんと薬飲んでるのに・・」
「わざわざ時間取ったのに・・」
という、やり場のない気持ちになる方もいらっしゃることでしょう。
中には、
「自分の体調管理が悪いのかな・・」
と自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。
まず最初にお伝えしたいのは、
血圧が高くて治療が延期になるのは、
“決してあなたのせいではない”
ということ。
そして、その判断は、
私たち歯科医師が、
患者さんのこれからの生活や健康を
心から大切に想っているからです。
私たちからの「愛のブレーキ」なのだということを、
詳しくお話いたします。

●なぜ歯医者さんで血圧を測るの??
「歯を削るだけなのに、なんで血圧が必要なの?」
そう思われるかもしれません。
実は、
歯科診療(特に麻酔を伴う処置)と血圧には、
切っても切れない深い関係があります。
●歯科治療で使う麻酔(局所麻酔)の意外な役割
深い虫歯を取り除いたり、神経を取る処置、歯を抜くなどの外科処置には、
痛みを感じにくくするための「局所麻酔」が欠かせません。
この麻酔にの中には、多くの場合「エピネフリン(アドレナリン)」という成分が含まれています。
エピネフリンの役割は、
①麻酔をしっかり効かせる
麻酔が効く場所に留まりやすくなるため、痛みを感じにくい
②効果を長持ちさせる
麻酔がすぐ流れてしまわないので、
治療中ずっと安定して効いてくれる
③出血を少なくする
血の流れを少し緩やかにすることで、
出血を抑え、安全に治療が出来る
このように、痛みを感じさせないためにはとても頼もしい存在ですが、
一方で一時的に血圧を上昇させ、
心拍数を増やすという性質も持っています。
もし、最初から血圧が高い状態で麻酔を使ってしまうと、
血圧がさらに跳ね上がり、体が大きな負担をかけてしまうかもしれません。
私たちは、歯の治療以上に、
患者さんの心臓や脳の健康を最優先に考えたいのです。

●「あなたに合わせた麻酔」を準備しています
「血圧が高いと、もう治療してもらえないの?」
と不安になることはありません。
私たちは、患者さん一人ひとりの体調やこれまでの病歴に合わせて、
麻酔の種類を使い分けています。
血圧が高い方には、体に優しい麻酔を選んでいます。
そのほかにも、体調や持病に合わせて、
それぞれの麻酔の特性を見極めながら適切に使い分けています。
「この方にはどの麻酔が一番安全か?」
私たちは常にそれを考え、準備しています。
それでも
「今日はお休みにしましょう」とお伝えするのは、
どんなに麻酔の種類を工夫しても、
その日の患者さんの体のコンディションが
「安全圏」を超えていると判断した時です。
●「お薬飲んでいるのに高い」のは、
体が環境に敏感に反応している証拠
「毎日欠かさず血圧の薬を飲んでいるのに、
どうして歯医者に来ると高くなるの??」
と不思議に思う方も多いと思います。
実は、これはとても多くの患者さんに共通する出来事です。
医学的には、「白衣性高血圧」といいますが、
これは病気というよりも、
「歯医者という非日常の環境に対し、
体が正常に、そして敏感に反応している状態」
と言えます。
歯医者さんの独特の音、薬品のにおい・・・
そして、
「痛いかもしれない・・・」
「何されるのかな・・・」
という無意識の緊張感。
こうした刺激を感じると、
体の中では
「さぁ、がんばるぞ!」
「今日こそはちりょうしてもらうぞ!」
というスイッチ(交感神経)が入ってしまいます。
すると、血管がキュッと締まり、
血圧を上げるホルモンが分泌されます。
たとえお薬を飲んでいても、
この「環境への反応」が持つ力がの方が
勝ってしまうことがあるのです。
それは、
あなたがそれだけ真剣に自分の体と向き合っている証拠であり、
外部の刺激に対して体が素直に反応しているということ。
決して、あなたの健康管理に問題があるわけではありません。

●処置を延期する「勇気」と、その先の安心
血圧が高いまま、無理に神経の処置や抜歯などの外科処置を行うと、
以下のようなリスクが考えられます。
・治療中の気分の悪化:
血圧が高いと、治療した部位の血が止まりにくくなり、
自宅に帰ってから不安な思いをさせてしまうかもしれません。
・重大な偶発症の予防:
非常に稀ではありますが、血圧の急上昇が
心臓や脳のトラブルにつながることを防ぐ必要があります。
「今日やめておきましょう」という言葉は、
私たちにとっても、患者さんにとっても、
少し残念な言葉かもしれません。
でもその一日をお休みにすることで、
将来起こり得たかもしれない大きなトラブルを
未然に防いでいるのです。

●「かかりつけの先生への手紙」に込めた願い
血圧が高い状態が続く場合、
私たちは内科などの主治医の先生へ「照会状(お手紙)」を
書かせていただくことがあります。
「歯医者へ行っただけなのに、内科にまで行くなんて面倒・・」
と感じるかもしれません。
でも、これはあなたがこれから安心して
歯医者の治療を続けていくための
「安全なルート作り」なのです。
お手紙を通じて、
「この患者さんは、
歯科で治療の時にこれくらいの血圧になりますが、
お薬の調整は必要ですか?」
「歯科用の麻酔を使用する予定ですが、
主治医の先生からみて注意点はありますか?」
といった情報をプロ同士で共有します。
医科と歯科が連携して手を取り合うことで、
あなたは「自分にぴったりの、一番安全な治療」を
受けられるようになります。
これは、私たちがあなたを一人ぼっちにせず、
チームで守っていくための大切なステップなのです。
●私たちは「チーム」であなたを支えます
「こんな小さな不安、話していいのかな?」
「血圧が高いって言われて、なんだか申し訳ないな・・」
そんな時は、どうかその気持ちをそのまま私たちに届けてください。
歯医者は、歯科医師一人で成り立っているわけではありません。
受付・コーディネーター:「今日はちょっと緊張してます」
そんな一言をぜひ受付で教えてください。
患者さんの気持ちに寄り添い、リラックスできる環境作りなどに努めます。
歯科衛生士:「実は麻酔が苦手で・・」「昨日あまり寝れなくて・・」
クリーニングの際でも、お気軽にお話しください。
私たちは一番近くで患者さんの表情を見守り、
必要があれば院長を連携します。
院長:安全を判断する専門家として、
患者さんの体の声と心の声の両方に耳を傾けます。
誰に話していただいても構いません。
渋田歯科クリニックは、
全員で情報を共有し、
「患者さんにとってもベスト」を一緒に考えます。
患者さんの不安を一つひとつ取り除いていくことも、
私たちの立派な「治療」のひとつなのです。
おわりに:一生、健やかな笑顔で過ごしていただくために
歯医者は、ただ「悪いところを削る場所」ではありません。
患者さんが一生、自分の歯で美味しい食べ物を食べ、
健康な毎日を送り続けるためのパートナーでありたいと願っています。
血圧を測ることも、
時には治療をお休みすることも、
すべては
「あなたが笑顔で、無事に自宅に帰ること」を
一番に考えてのこと。
もし今日、処置が出来なかったとしても、
それは失敗ではありません。
「自分の体をもっと大切にするためのほんのちょっとの休憩時間」
だと思って、ゆったりした気持ちで過ごしてください。
不安な時はいつでもご相談ください。
●参考文献
日本歯科麻酔学会:歯科治療中の全身偶発症への対応指針
日本高血圧学会:高血圧治療のガイドライン2019
日本歯科医師会:歯とお口の健康Q&A/全身疾患がある場合の歯科治療
2026年03月19日
通院だけでは足りない、磨くだけでも足りない。最高の予防を叶える『掛け算』の習慣
●予防は「通うこと」と毎日のケア」の両方で成り立ちます
歯医者での数ヵ月に1度の定期クリーニングはとても大切です。
ですが、それだけでは自分の歯は守られません。
予防の基本は、あなた自身の毎日のセルフケアです。
どんなに丁寧にクリーニングを受けても、
毎日の歯みがきが出来ていないと、再び汚れはたまってしまいます。
磨いたつもりと磨けているとは大きな違いがあります。
大切なのは、
・正しい歯ブラシの当て方
・自分に合った歯ブラシや補助用具の選択
・デンタルフロスや歯間ブラシの活用
・フッ素の適切な使用
・食習慣の見直し
こうした日々のセルフケアの積み重ねです。
私たちは、そのお手伝いをしています。
お口の状態は一人ひとり異なり、
磨き残しの傾向も、歯ぐきの状態も、生活習慣も違います。
だからこそ、クリーニングの時間は、ただきれいにするだけでなく、
その方に合ったセルフケアを一緒に見つける時間でもあります。
●セルフケアが変わると、未来が変わります
実際に、セルフケアが安定している方は、
・歯ぐきの炎症が起こりにくい
・歯石がつきにくい
・虫歯の進行が遅い
という傾向があります。
予防は、特別なことではありません。
毎日の小さな習慣の積み重ねです。
そしてその積み重ねを、
私たちが定期的に確認し、整えていく。
これが「削らない未来」につながります。
●八戸でクリーニングをお考えの方へ
八戸で歯科医院を探している方の中には、
「歯医者は行きにくい」
「怒られそうでこわい」
そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
私たちは、できてないことを責めるのではなく、
一緒に口腔内を良くする方法を考える歯科医院でありたいと思っています。
プロのクリーニングと、毎日のセルフケア。
この二つが重なって、歯を守ることができます。
削らない未来は、
医院だけで作るものではありません。
あなたと私たちが一緒に積み上げていくものです。
2026年03月19日
365日vs数時間。あなたの歯を守るのは、どっちの時間?

本当に歯を守れるのは、毎日のセルフケアかもしれません
「定期的に歯医者に通っているから虫歯にならない。」
「三か月に一回(半年に一回)歯医者でクリーニングしているから大丈夫。」
そう思っていませんか?
実は、歯を本当に守っているのは
歯科医院での数か月に一度の時間ではなく、
自分で行う毎日のセルフケアの積み重ねです。
これはとても大切なことです。
1年のうち、歯医者にいる時間はどれくらい?
例えば、3か月に1回クリーニングを受けるとします。
1回45分としても、
1年間で合計3時間。
1年は8,760時間あります。
もうお分かりですよね
歯科医院にいる時間は
1年のうち、ほんの少しなのです。
残りのほとんどの時間は、
ご自宅でのセルフケアにかかっています。
「磨いている」と「磨けている」は違う
ほとんどの方が毎日歯を磨いています。
でも、
・いつも同じ部分に磨き残しがある
・力が強すぎて歯ぐきが傷ついている
・歯と歯の間はほとんど磨けていない
・磨き方にクセがある
というケースは少なくありません。
実際に染め出しをすると、
「毎日きちんと磨いているのにどうして?!」と驚かれる方が多いです。
決して、サボっているわけではありません。
知らなかっただけ。
気づいていなかっただけ。
それがほとんどです。
日本人の約8割が歯周病予備軍という現実
厚生労働省の調査では、
30代以上の約8割が歯周病にかかっている、または予備軍とされています。
歯周病は、痛みをほとんど感じません。
いつのまにか進行していて
気付いた時にはもう戻らない・・・
この“静かな進行”を止められるのは、
自身で行う日々のセルフケアです。
セルフケアが変わると、未来が変わる
セルフケアが整うと、
・歯ブラシ時、出血がしにくくなる
・口臭が気になりにくくなる
・歯石がつきにくくなる
・虫歯の進行が遅くなる
といった変化が起こります。
そして何より、
削る治療が減ります。
神経を守れる可能性が高まります。
将来、大きな治療になるリスクが下がります。
これは特別なことではありません。
磨き方を少し変える
鏡を見て歯磨きする
意識を少し変えて習慣化する
ほんの少しの意識
それだけで未来は180度変わります。
私たちが大切にしていること
私たちは、
「歯磨いてないんですか?」と責めたりしません。
一緒に、
・どうすれば磨きやすいか
・合ってるケア用品は何か
・どこに注意すればいいか
を考えて教える、サポートをしていきます。
クリーニングは、
ただきれいにすることが目的ではありません。
ご自身のセルフケアを見直し、
あなたの歯を守るための大切な時間です。
八戸で予防を考えている方へ
八戸で歯科医院を探している方の中には、
「自分の歯を残したい」と思っている方も多いはずです。
削らない未来をつくるために必要なのは、
あなたの毎日のセルフケアです。
私たちはそのサポートをするパートナーです。
今日からできること
はじめから上手くできません。
まずは、
・歯と歯の間を1日1回意識してみる
・歯ぐきの出血に気づいてみる
・力を少し弱めてみる
毎日、少しずつ、意識をする
その積み重ねが10年後、20年後の自分に返ってきます。
あなたの歯を守れるのはあなただけ。
もし「自分の磨き方が合っているか不安」と感じたら、
お気軽にご相談ください。
私たちは、削らない未来を一緒につくる歯科医院でありたいと考えています。